■ 弊社独自のバランス測定と修正 ■
       バランスはただ回せば取れると言うものではありません。



バランサーに乗せて回せばバランスは取れる?
         いいえ、残念ながらそうではありません。


■■ 共 振 ■■

物には固有振動と言う厄介な現象が存在します。
これを無視して物体を回転させようとすると回転数によっては共振を起こし、場合によっては重大な事故に繋がってしまいます。

バランス修正は本来、物体を回転させても振動が出ないように修正する作業ですが共振には特別な配慮が必要な作業と言えます。

回転体の共振点を把握しないまま安易に修正作業を行おうとするとバランスが修正出来ないどころかかえって悪くする結果に成りかねません。

共振点を把握するのに最も簡単で有効な方法はFFTアナライザーによるスペクトル解析です。

弊社では所有する全ての試験機にFFTアナライザーが接続出来るように端子を設けており、簡単に共振点の確認が出来るようになっています。



■■ 測定回転数 ■■

時たま使用回転数でバランス修正をして下さいとご依頼があります。
お客様にすれば使う回転数で修正しておけば安心と思われてのお話だと思います。

しかし、これは正しい判断とは言いかねる事が多いのです。

まず送風機などのファン。
これらの回転体はケーシングの中で回転する事を想定して設計されています。
つまり限られた空間で、限られた容量の気体の中で回転するように作られているのです。


これを、大気中で使用回転させるとどうなると思われます?

必要以上の風を起こし、これがアンバランスとして測定されてしまいます。
また、この風はファンそのものを風圧によって変形させてしまう事もあります。
この変形もまたアンバランスとして測定されてしまいます。

ファンは使用回転数でバランス修正しても良い結果は得られない事が多いと言えます。



では、送風機以外の場合はどうでしょう。

釣り合い試験機(バランサー)は測定物が剛体であれば回転数は表示されるアンバランス量に影響を与えません。
つまりバランサーのメーターに表示された1gは1000rpmあろうが10000rpmあろうが1gなのです。(回転体が変形しないことが条件)
もちろん、許容として修正すべき量は使用回転数で計算して修正を行います。

剛体ならば使用回転数でも大丈夫と思ってしまいますが、ここで引っかかってくるのが先ほど述べました共振点です。

剛体と呼ばれる物にでも共振点は存在します。

長くなってしまいましたが要するに、精度良くバランス修正を行うには使用回転数云々より回転体が共振の影響を受けない回転数で測定を行うのが肝心なのです。

どうしても使用回転数に拘るなら、弾性体としての概念でバランス修正を行わなければならなくなり、コストが極端に増大します。



■■ 熱 変形 ■■

ステンレスなどで作られた物はバランス修正には注意が必要です。
修正時の加工の熱で変形を起こしうまく修正が出来ない事があります。

どれくらいの熱が加わると駄目なのか今までは把握することは難しい問題でした。

非接触の温度計を使っても、どの部分にどれくらいの熱がと言うのは判りません。
弊社ではこの問題に対処すべくサーモグラフィックカメラを導入しております。

熱解析画像を見ながら修正を行う事でこの問題を解決致しました。



■■ 静バランス? 動バランス?? 単面修正? 両面修正?? ■■

お電話でよくお問い合わせがある話し。

「 図面に静バランスと書いてあるのですが、取れますか?? 」と・・・・・・

品物は何ですか?とお尋ねすると全長2mのロールだったりして。
静バランスと動バランス、単面修正と両面修正、どうも定義がごっちゃになっているようです。

ここで少し整理して書いておきます。
まず、静バランス(スタティックバランス)とは静的なバランスを意味します。
一方、動バランス(ダイナミックバランス)とは動的バランスを意味します。

静バランス:回転体を水平な受け台の上に乗せ、自然に転がるのを見て転がらないように修正する方法。(俗に言うころがし)

動バランス:回転体を試験機の軸受けに乗せ、モーターなどで回転させ電気的にアンバランス位置を計測し修正する方法。

更に単面と両面の違いは
単面修正:アンバランスの修正を1箇所で行うもの。

両面修正:アンバランスの修正を2箇所で行うもの。


よって
静/動バランスは測定方法を意味し単面/両面は修正方法を意味します

静バランスはただ転がすだけなので当然単面修正しか出来ませんし、最終的にどれだけアンバランスが残っているかも判りません。

一方、動バランスは装置を使っての計測なので回転体の形状によって単面修正で良かったり、両面修正でないと駄目だったりと修正方法を選択出来ますし、最終的に残留しているアンバランス量が判ります。

昔に書かれた図面にはこの辺の定義が曖昧なまま、取り合えずバランスは確認しといてね的意味合いで、静バランスで○○g以下・・・と書かれてるものが多いようです

実際、静バランスでは○○g以下と言うのは計りようがありません。
正しくは、”単面バランス修正で○○g以下” と書けば混乱を招かないのですが・・・

                                 
     判り易いアニメーションでの説明は
こちらをご覧下さい。